私は、耕す。土を作る。地道にこつこつやるフツーの弁理士です。

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Q&A

一般的質問

Q1.費用はいつ発生しますか?>>

A1.最初のご相談から有料となります(毎回5500円。メール、出張相談のいずれも)。出向いてのご相談の場合、交通費を頂戴する場合があります。料金体系についてはこちらをご覧下さい。

Q2.相談する際の注意点はありますか?>>

A2.弊所ではご相談の際、「なんのために特許を出すのか」についてお伺いするようにしています。 特許を出す目的は、ご相談に来られる方御自身の中で遅くとも出願する時点で明確に固まっていることが肝要です。 当方も商売の長い歴史の中で商人によって生み出された特許の使い方について勉強してきており、いくつか答えがあります。まだ漠然としている方は、ご相談の中で固めていきましょう。
  

Q3.なんのために特許を出すのかがなぜ大事なの?>>

A3.理由は3つあります。1つめは、その問題に向き合わずに漠然と特許出願しても、 ただ技術が公開されただけで損をした気分が残り 特許を取ったメリットを実感できないことが多いからです。2つめは、それによって明細書の書き方も変わってくるからです。3つめは、取得した特許の使い方によっては独占禁止法に抵触するおそれがあるからです。
    

Q4.特許と独占禁止法とはどういう関係にあるの?>>

A4.独占禁止法21条には「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新 案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない」と規定しています。つまり、特許権の行使と認められる行為については、独占禁止法は適用されないという姿勢です。 しかし、特許権の行使と認められる行為とはなんぞや、という問題となり、これに関して公正取引委員会がガイドラインを設けています。
    

Q5.あなた特許のメリットを訴える側の人間でしょう?どうして独占禁止法の話をわざわざ持ち出すわけ?>>

A5.1つは、独占禁止法ガイドラインには「これまで商人が、様々な商取引に際して、特許権をどのよう に使ってきたのか」についての歴史を知り、教訓を得ることができるからです。特許取得→ライセンス→相手方からお金取る、特許取得→訴える→相手方からお金取るという図式は知られていますが、それだけではない、ということが見えてくるはずです。 ガイドラインには、なんのために特許を出すのかのヒントも含まれているといえます。2つめには、特許権の実施許諾を伴う契約(技術供与を含む)でしばしば問題となってくるからです。
          

Q6.侵害調査の値段についてなぜ5万円程度〜と他より安く設定しているの?>>

A6.侵害調査の価格は本来、調査対象となる商品の売上高(売上予測)に応じて、 侵害と認定された場合のリスクを見込んだうえでワライアント様の側で決めるべきものですが、弊所は、侵害調査の費用は出願に要する費用に比べて低廉に設定されるべきと考えています。というのも、侵害調査の結果(報告書) の結果は、基本的に調査時点においてのみ有効であり(意味をもち)、 特許取得のように御社の財産にはならないからです。ただし、5万円を下回ることはありません。真剣に侵害調査をやろうと思えば、 報告書作成を含めて最低でも3日は費やすからです。一方で、仮に非侵害となった場合の損害賠償金についても5万円が限度となることはご承知置き下さい。
    

Q7.私は、発明したのですが、自分で出願明細書を書いたり、手続きをしても問題ないんですよね?>>

A7.はい。出願だけ弁理士に任せて、あとは自分でやるということもできます。 その出願について既に弁理士に委任状を提出している場合でも、本人による手続きを制限するものではありません。但し、出願後の対応の仕方を誤ると、後に特許権が成立したとしても、その権利範囲が不当に 小さく解釈され、本人に不利益が及ぶこともありえますので、ちゃんとした特許を取ろうとしたら終始専門家に任せるのが賢明です。また、特許事務所に任せるもう1つのメリットとして、期限管理が楽になる というのがあります。所定の期限が近づくとそれを本人に通知するサービスがあるのでうっかり手続きを忘れるということがなくなります。
    

Q8.弁護士との提携はしていますか?>>

A8.いいえ。弊所は現時点で特定の弁護士との提携に否定的な考えを持っております。理由は以下の通りです。 ただし、お客様の弁護士探しに協力することはできますのでご相談ください。
(1)顧客には、仕事に取り組む姿勢、年齢、相性、価値観、モノの考え方、人間的な好き嫌い等に基づき、弁護士を選ぶ権利がある。弊所と相性の良い顧客が、弊所と提携する弁護士とも相性が良いとは限らない。
(2)本来、顧問契約を前提とした相談や長年の関係性を通じて、顧客が特定の弁護士と信頼関係を構築してこそ、その弁護士が本腰を入れてその顧客の事案に取り組むと考えられる。
(3)顧客から弊所に持ち込まれる相談は多種多様であり、弁護士が既に受任している別の顧客がライバル会社である可能性もある。争訟案件に発展した全ての案件について、特定の弁護士に無理に引き受けさせることはできない(弁護士には良心や価値規範、道徳観に従って仕事を選ぶ権利がある)。
(4)弊所の顧客に対するコミットメントと同じレベルのコミットメントをその顧客と縁もゆかりもない弁護士にいきなり求めることは酷である。
(特定の顧客や特定の事案に対する弊所の愛着や思い入れは、その顧客や事案とそれまで関係がなかった弁護士からすれば理解できず、どうしても温度差が生じる)
(5)弊所は、家賃等の固定費削減、人件費を含む徹底したコスト削減により安価にサービスを提供しており、弊所として特定の弁護士に顧問料を払う余裕はない(またそれに見合う係争事案数もない)。
    

Q9.権利を放棄したいです。理由を言わないでいいですか?>>

A9.はい。弊所の考えですが、弁理士が権利の維持・放棄に口を出すことはあまり好ましくないと考えています。 放棄する場合、原則手数料は発生しませんので、弊所としてはメリットはありません(*注 2020年7月8日以降は、3300円かかりますのでメリットは薄いという表現が正確です)が、放棄を思いとどまるように説得することもないですし、放棄する理由を問い詰めることもありません。放棄をされたとしても弊所との関係を損ねる懸念はありません。 現に、放棄された後も、情報をご提供したりして関係が続いているワライアント様もあります。どうしても放棄するべきか否かの判断に迷われる場合は、ご相談に乗ることもできますが、維持した方が良いことが多いでしょうね。

Q10.権利の維持管理を(1)あなたに任せたい/(2)自分でやりたい/(3)他の事務所に任せたいのですが?>>

A10.(1)弊所が出願に関与した事件については、特にご指示がない場合、権利成立後も責任をもって維持管理しますが、他所の案件の管理は原則お断りしています。 (2)はい。可能です。ワライアント様が複数の代理人を使われている場合等、一元管理したい場合もあると思います。事情のご説明は不要ですのでいつでも仰ってください。権利管理に必要な情報の一切をご提供します。(3)はい。他所への移管は可能ですが、ワライアント様から他所の同意を得たうえでお申し付けください。弁理士倫理2条、11条に従い、品位と理性を保ちながら、他所の業務に支障が生じないよう円滑な引き継ぎを行います。

Q11.セカンドオピニオンに関する姿勢を教えてください。>>

A11.セカンドオピニオンを求めることはワライアント様の権利であり、求められればご提供することはやぶさかでありません。但し、あくまでワライアント様の判断材料としてご参考までにご提供するものであり、ファーストオピニオン提供者に「他の人からこう言われた」と言うことは、名前を明かさない場合でもお控えください(当然のことですが)。ファーストオピニオン提供者の中にはそれが当人を誹謗する内容でないにも関わらず、誹謗行為と受け取ったり、「誰が言ったのだ」と猜疑心にとらわれ苦しまれる方もいらっしゃいます。
特許関連
    

Q1.特許権の基本的性質を教えてください。>>

A1. 特許権の基本的性質は、大きくわけて5つしかありません。 独占権的性質(= 日本国内で発明を実施できるのは特許権者一人)、排他権的性質(=特許発明の実施につき、他者に一切邪魔されない)、 実施許諾(=経済的、技術的に特許発明を実施する能力がある第三者への一定の条件のもと での技術利用許諾または対価徴収)、クロスライセンス(=自社基本技術を基礎とした他社改良技術の利用許諾取り付け)、消尽(=特許権者から買った正規商品の使用、再譲渡につき特許権者から文句を言われない) の5つです。 これらのうち、特に最初の4つは国が認める特許権の強力な性質であり魅力的なものですが、一方で独占禁止法の観点で制限を受けることがあります。
    

Q2.日本で特許を取っていれば、海外でも有効ということ?>>

A2. 日本の特許は、日本国内で有効な特許です。海外では有効ではありません。 海外で事業を行う方は、事業を行う各国(海外に生産を移されている方は、その生産している国、海外で販売されている方は、その販売している国)で特許を取る必要があります。
    

Q3.私は日本で特許を取っているのですが、他人が、海外で同じ内容の特許を取っていることを知りました。 日本で特許があるのだから、他人が海外で同じ内容の特許を取ったとしても無効でしょう?>>

A3.困ったことですが、日本の特許が海外で取られていないことをいいことに、 海外でほぼ同じ内容の特許を取る輩がいるようです(最近商標でも問題になっているのでよくご存じでしょう。同じ事が特許でも起きているようです)。 他人の海外特許は、その国でその特許を無効にする手続きを踏まないかぎり、原則、有効なものとして存続しています。 また、日本の特許と一見同じ内容にみえても、ちょっと内容を変えて特許になっていたりします。 あなたの商品を海外で販売する際には取引先に迷惑をかけないためにもその国で特許に触れないかどうか慎重に検討する必要があります。そのような海外特許を見つけたらご相談下さい。
    

Q4.なぜ、情報提供にこんなにお金がかかるの?>>

A4.「情報提供」というと「単に文献を提出するだけでは?」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。 実のところ、それでは足りません。提出する文献のどこにどのようなことが記載されているのか具体的に指摘したうえで、それが情報提供の対象となっている特許出願のどの部分と対応しているのか、 対比説明する必要があります。また、拒絶にすべき理由を審査官のロジックに合わせて審査官に分かりやすいように説明する必要があります。そこに弁理士の特殊技能としての料金が発生すると思って下さい。 情報提供を失敗すると、特許が成立し、紛争に巻き込まれるリスクが増大することを示唆するデータもありますので、個人でやられる方はくれぐれもご注意下さい。なお、弊所は、他の事務所とは異なり、情報提供したら終わりではなく、情報提供の結果まで報告します。審査経過のウォッチングから結果報告まで込みの料金となっております。
   

Q5.情報提供の成功率は?>>

A5.何をもって成功と捉えるかにもよりますが、情報提供された案件の72%において、 提供された文献が拒絶理由通知中で引用文献等として利用されています(平成23年12月に審査された案件についての特許庁の調査による)。 弊所の情報提供はこの統計データより高い採用率を狙ってまいります。
   

Q6.初手PCT出願推進サービスを利用するにあたっての注意点は?>>

A6.本サービスは、将来的な海外進出(外国での特許取得)を見越したサービスですが、 結果的に日本でのみ特許を取得することになっても全く問題はありません(但し、その場合、国内出願のみの場合に比べて費用総額は高くなります)。また現在、「台湾」はPCTの加盟国でありませんので、台湾に限っては、 特許を取得するか否かを出願から1年経つ前に判断する必要があります。本サービスをご利用される場合には、1年経つ前にワライアント様のご意向を確認いたします。
   

Q7.弁理士の鑑定にはどのようなメリットがあるの?>>

A7.弁理士の鑑定は、ワライアント様が商品を製造販売するにあたって、他人が保有する特定の特許権、 実用新案権あるいは意匠権(以下、特許権等)が障害となるか否かを判断するものです。特定の特許権等が事業上障害となるか否かをリスクを含めて内密に把握し、実施許諾契約を結ぶか否かの経営判断の材料の1つにしたい場合、弁理士の鑑定を 得ておくことに意義があります。なお特許庁にも「判定(特許法71条)」という制度がありますが、これはワライアント様と特許権等の保有者(以下、権利者)双方の言い分を特許庁が聞いたうえで障害の有無を客観的に判断す るものであり、客観性が非常に高いというメリットがある一方、権利者を土俵に引っ張り出すことから、ワライアント様がその特定の特許権等を意識していることやワライアント様の事業の方向性を権利者側に知られてしまうデメリットがあります。 上記は、ワライアント様が権利者でない場合のメリットですが、もちろん、権利者側にも、訴えるか否かの判断材料にしたり、裁判での主張の仕方を知りたい場合等に弁理士の鑑定を得ておくメリットがあります。

Q8.侵害調査と鑑定との違いは?>>

A8.事務所にもよりますが、通常「侵害調査」は、特許を特定せず、関連分野の多くの特許を網羅的に抽出して、 抽出された特許の文言のみに着目してシロ(非侵害)かクロ(侵害)かの判断を行います。これに対して「鑑定」は、シロクロの判断が微妙な特定の特許(1件〜数件)を対象として、裁判所での判断を想定してより本格的に侵害の成否の判断をします。 「侵害調査」の過程で浮かび上がったシロクロ判定が微妙な特許について「鑑定」を行うと考えてください。
商標関連
   

Q1.商号は、商標登録をしなければ法律上保護されないの?>>

A1. いいえ。商号は、商標登録をしなくても、商法、会社法および不正競争防止法上、保護 すべきことが規定されています(商法第12条、会社法第8条、不正競争防止法第2条1項1号)。
   

Q2.では商標登録するメリットはどこにあるの?>>

A2.商標登録をすると、商標権という独占排他的権利が発生し、商法、会社法および不正競争 防止法では得られない強力な営業上の保護が商人や会社に保障されるというメリットがあります。商標登録しない場合に与えられる保護と対比しながら以下に説明します。
 まず、商法および会社法上、あなたの商号を他人が使用することをやめさせるには、あなたの商号が周知であることは要しませんが、当該他人に「不正の目的」があることをあなた自身で立証しなければなり ません(商法第12条、会社法第8条)。ここで不正の目的とは、端的にいえば「悪意」です。具体例をみますと、今日までこの「悪意」の有無について裁判所が判断した事例は元々、原告と被告との間に何らかの深い因縁 がある事例に限られています。因縁とは、ルーツは同じだが、後にAとBとに暖簾分けし、一方の信用に他方が便乗しているケース、C会社が、生産用の子会社としてD会社を設立した後、CD間の契約上の問題でケンカ別れし、 D会社が独立して商売を始め、C会社の商号を使い続けているケース等をイメージして下さい(不正の目的を認めた例として、昭和57年(ネ)第521号、平成22年(ワ)第46918号。認めなかった例として、平成1 9年(ネ)第10001号等)。現実問題として、因縁があれば、裁判を起こすに至るまでにいろいろもめやすい環境があり、相手方の「悪意」を認定するための証拠も集まるのですが、元々関係の薄い者同士が各々独立し て似た商号を使い始めたケース等では「悪意」は認定されにくいものと思われます。商法および会社法上の保護はその意味で心許ないものです。
 一方、不正競争防止法上、あなたの商号を他人が使用することをやめさせるには、当該他人に「悪意」があることは要しませんが、あなたの商号が需要者の間にあなたの営業表示として広く認識されている(周 知性がある)ことを要します(不正競争防止法第2条1項1号)。この規定に基づいて使用差し止めを求める裁判例は多いです。実際、商法、会社法および不正競争防止法の規定に基づいて商号使用の差し止めを求める裁判 例をいくつかあたってみましたが、多くの事件では、原告の商号が、たまたま需要者の間に広く認識されている(周知性がある)という事情があり、それによって不正競争防止法上の差し止め(2条1項1号、3条)のみを 認めています(例えば、平成11年(ワ)第12627号、平成17年(ワ)第11271号、平成16年(ワ)第13859号等)。
 つまり、他人の使用が差し止められた例の多くは、当該他人に「不正の目的」があったことが認められたからではなく、原告の商号がたまたま周知性を有していたから救われています。
 では、その「周知性」とはどのレベルか、という話になりますが、それについては他のサイトにもあると思いますので割愛します。大事なのは、あなたの商号が「周知性」を有しているか否かや、あなたと他人 との企業規模、商売の規模の大小に関係なく、また、当該商号を付した商品の生産、販売や、サービスの提供を他人に一切邪魔されることなく安心して継続できる「紋所」となるのが商標登録のメリットの1つなのです。

   

Q3.私の商号は、商標登録はしていないのですが、他人が私の商号に似た商号を使用していることを知り ました。どうすればいいの?>>

A3.少なくともいえるのは、あなたの商号に似た商号を他人が使用していることを認識したら、以 後、客観的にみて、その人の使用を容認したととられるような行動はとらない方がよい、ということです。もし「あなたがその人に商号の使用を許諾した」と裁判所に受けとられるような行動をとった場合、後々、あなたの使 用する商号とその人が使用する商号とをお客さんが混同するような事態が生じたとしても、その人の使用をやめさせられなくなる虞があるからです(平成16年(ワ)第13859号、昭和57年(ネ)第521号)。「カド が立つから」「たぶんお客さんは混同しないから大丈夫だろう」と放置することは好ましくありません。まずは、その人が自身の商号について商標登録をしていないか、右側バナーの「特許庁商標検索」をクリックして調査し てみましょう。商標登録していないことを確認したら、あなたが自分の商号についていち早く商標登録出願をすることをおすすめします。商標登録は出願が早い者が勝ちなので、あなたが商標登録出願で先を越せば似た商号を もつその人は商標登録をすることができなくなりますし、商標登録がされるということはあなたにその商号を使用する正当な権原が与えられたことを意味するからです。ただし、その人との関係悪化を懸念するのであれば、少 々工夫が必要です。現在の状況について詳しくご説明下さい。
   

Q4.私の商号は、商標登録はしていないのですが、他人が私の商号に似た商号を商標登録していることを 知りました。どうすればいいの?>>

A4.商標登録した商号をその他人が使用しているか否か、商標登録した経緯や時期等にもよるので すが、商標登録を取り消すことができる場合もあります。ただし、他人の商標登録を取り消せば、あなたが安心して商号を使用できるかというと、そうではありません。A2.で述べたように、不正競争防止法上の差し止め請求 をされるケースも考えられるからです。あなたが自分の商号について商標登録出願をしつつ、他人の商標登録を取り消すように特許庁に求める必要があります。まずはご相談下さい。

Q5.キャラクターの著作権を持っています。著作権侵害に対しては、差し止めをすることができると聞いていますが、 キャラクターについてことさら商標登録する意義はあるのですか?>>

A5.あります。確かに、他人がそのキャラクターを無断使用していた場合は勿論、無断で商標登録していた場合でも、 その商標登録出願日前に創作した日を有する著作権を自己が有する限り、当該他人はその登録商標を使用できず、著作権侵害に問えます(商標法29条、著作権法112条)が、著作権侵害に対して権利行使する場合、相手方が正当な権原なく 著作物を利用したことを立証する必要があります。ここで、「著作物を利用」したというためには、その「著作物に依拠し」ている必要があります(ワンレイニーナイトトーキョー事件最高裁判決昭和53年9月7日)。つまり、 たとえキャラクターが客観的に見て類似していても、相手方からすると「わたしは、独自にこのキャラクターを創作した。あなたの著作物を見てマネしたわけではない。だからあなたの著作物を利用しておらず著作権侵害ではない。」という ロジックを展開し得るわけです。このようなロジックに対抗するため、自己の著作物を相手方が見て模倣したことを推認させる証拠の提示が必要になります。相手方の模倣を立証するには、例えば、こちらが先に創作したことを示すことが考えられますが、この創作日の立証も面倒です。
これに対して、相手方が使用している商品を指定商品としてそのキャラクターについて商標登録をしておけば、依拠性の立証は不要であり、客観的に見て似ているというだけで相手方の使用を差しとめることが可能です。また出願日は創作日 と異なり特許庁に記録が残っていることから立証容易です。加えて、万一他人が先に商標登録してしまった場合(例えば、ライセンシーが契約期間の経過後等に勝手に商標登録する場合等があります)、自己が同一商品について商標登録するた めには、他人の商標登録を無効にする必要がありますが、その商標登録を4条1項7号等に該当することを理由として取り消せるか不確実であるという問題もあります。
それともう1つ重要なのが、過失の推定の問題です。通常、著作権の侵害行為によって受けた損害を 賠償してもらうには、侵害者側に故意又は過失があることを権利者側が立証する必要がありますが、商標権侵害には過失が推定されますので、権利者側の損害賠償の立証が非常に容易になるメリットもあります。
以上のような理由で商標登録の意義が認められます。

伴昌樹特許事務所

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